在宅避難:災害時の新たな選択肢

こんにちは、防災士「電線の切れた電柱」です!

今日は能登半島地震でも改めて注目されている在宅避難について考えていきたいと思います。

災害時の避難方法として、これまでは公共の避難所への避難が一般的でした。しかし、コロナ禍を経て感染症対策という概念が一般化し、災害関連死を防ぐ為に、避難所のウェルネスについて考える機会が増えた近年では「在宅避難」という新たな選択肢が注目を集めています。

在宅避難とは、災害発生時に自宅が安全であると判断された場合、公共の避難所に移動せず、自宅で避難生活を送ることを指します。

在宅避難の概念

在宅避難は、災害時に自宅での安全が確認(保障)される状況下で、自宅に留まり生活を続ける方法です。これは、自宅が十分な安全基準を満たしている場合に限定されます。この概念は、特に大規模な災害が頻発する現代において、避難所での混雑や感染症のリスクを避けるための有効な手段として提案されていますが、大規模地震が発生した際には、同程度規模の余震が頻発する可能性があり、当初の揺れでは問題が無かったように見えていても、家屋にダメージが蓄積していることがあり、次回の揺れで倒壊してしまう可能性があるためです。

注目される理由

  1. 感染症リスクの軽減: 特に新型コロナウイルスの流行以降、公共の避難所での密集を避け、感染症リスクを減らすための対策として在宅避難が注目されました。
  2. 個人のニーズに対応: それぞれの家庭で特有のニーズや事情があるため、自宅での避難は個々の要望に柔軟に対応できる利点があります。特に公共の避難所で確保することが難しいプライバシーの保護などが可能になるため、小さい子どもの居る家庭や女性を中心に在宅避難は有効です。
  3. 心理的な安心感: 自宅は精神的な安心感を提供し、災害時のストレスを軽減する効果があります。見ず知らずの不特定多数が集まる避難所では精神的なストレスも蓄積してしまいます。特に生活リズムの違いによる、音や明かりの問題によって睡眠しにくい状況などが起こると避難所でもトラブルとなることがあります。これらの問題に対しても在宅避難は有効です。

備えておくべき点

在宅避難を効果的に行うためには、以下のような準備が必要です。

  1. 耐震性の確保: 自宅の耐震性を確認し、必要に応じて耐震補強工事を行うことが重要です。
  2. 備蓄の確保: 水、食料、医薬品などの基本的な備蓄を常に確保しておくことが大切です。特にローリングストック法(古くなった物から消費し、新たに買い足す方法)が有効です。
  3. 非常用電源の準備: 停電時に備え、太陽光発電システムやポータブルバッテリーなどの非常用電源を用意しておくと安心です。
  4. 情報収集能力の向上: 災害時の情報収集手段を複数持つことが重要です。インターネット、ラジオ、非常用の衛生携帯電話などが役立ちます。
  5. 避難計画の策定: 自宅が安全でなくなった場合の避難計画を事前に策定し、家族全員で共有しておくことが大切です。
  6. 避難所からの物資調達:在宅避難であっても、被災していれば物資の供給を受けることができます。近くの指定避難所と情報を共有し、物資をもらいにいけるように場所などを把握しておきましょう。

まとめ

在宅避難は、災害対策としての新しい選択肢として注目されています。ただし、自宅がその後に多発する余震などにも対応出来るだけの家屋の安全性がある事が大前提となります。

また、地域の避難所には地域の人々と助け合う「共助」が生まれやすく、被災時の限られたリソースの中で助け合う事が出来るという利点もあります。

どちらを選ぶとしてもしっかりとした自助(防災備蓄)が重要であることに変わりは無く、地域での助け合い、共助を大切にすることは忘れずにいて欲しいです。