避難所で命を守る TKB(トイレ・キッチン・ベッド)の重要性

こんにちは、防災士「電線の切れた電柱」です。今日は能登半島地震で注目されている避難所のTKBについて考えていきたいと思います。

災害時、私たちが直面する最大の課題の一つは、生活の基本的なニーズをどのように満たすかということです。この点で、TKB(トイレ・キッチン・ベッド) という概念は、避難所生活における快適さと人間性を保つための重要な要素となります。

トイレの重要性

災害発生時、最初に問題となるのが衛生設備、特にトイレです。適切なトイレ設備がなければ、衛生状態が悪化し、感染症のリスクが高まります。避難所では、トイレの数や清潔さが重要で、特に女性や高齢者に配慮した設備が求められます。

一般的に避難所として使われることの多い学校施設は洋式化率が5割程度とされています。便器は和式がまだまだ多いのです。

高齢者や小さいお子さんにとっては和式便器は使用が難しく、転倒して汚物と接触してしまったりと感染症を広げるリスクがあります。もともと、和式トイレは用を足したときに跳ね返りが起きやすく、洋式便器と比較して大腸菌などの有害な細菌が非常に多くなるというリスクがあります。

まずは学校等の避難所として運営される施設のトイレの洋式化が重要です。そして、洋式化が難しい場合にもかぶせるタイプの簡易洋式便座などの設備があれば安心です。

被災時には内部配管の破損による汚水の漏水の可能性や、水道の断水によって流せなくなる可能性が高いです。

断水のみで、配管の破損が無い場合には、プールの水や雨水タンクの水などを使用して流す事も可能となりますが、バケツで水を勢いよく流すと、周囲への汚水の飛沫が感染症リスクとなります。慎重に対応しましょう。

備えておくべきものとしては以下のものがあります。

携帯トイレ

断水や排水不可となった洋式便器等に設置して使用する便袋(し尿をためるための袋)を指します。

仮設トイレ(組立型)+

トイレ室と便器が一体になり、災害時に組み立てる製品を指します。

マンホールトイレ

マンホールの上に設置するパネル型、テント型などのトイレ室のことを指します。

キッチンの役割

食は生存の基本であり、災害時における栄養の確保は非常に重要です。キッチンでは、限られた資源を使って健康的な食事を提供することが求められます。共同キッチンは、コミュニティの形成と心理的サポートの場ともなります。

衛生管理のための使い捨ての手袋、食器を洗うことが難しいので、お皿に被せるラップ、手指衛生用の消毒用アルコールなどの衛生用品、調理用のカセットコンロとカセットガスの用意は必須です。

地域の飲食店の中で、プロパンガスによる調理が可能な店舗を把握し、予め協力関係を構築しておくことも大切です。

ベッドの重要性

適切な睡眠は、健康維持とストレス軽減に不可欠です。しかし、避難所ではプライバシーの欠如や快適さの不足が問題となることがあります。ベッドや寝具の提供は、避難者の休息と回復を支援するため重要です。

段ボールベッドと毛布、プライバシー保護のためのパーティションなど前もっての準備が必要です。ダンボ-ルベッドの準備が出来ない場合には段ボールを3枚くらい重ねると床からの冷気の伝わりを防ぐことができますが、感染症対策のためにも、床への雑魚寝は解消する必要があります。避難所の生活空間での土足厳禁、そのための上履きを持っての避難を徹底しましょう。

TKBの統合と実践

TKBの概念は、避難所運営において、これら三つの要素をバランス良く統合し、避難者の尊厳と基本的なニーズを満たすことを目指しています。災害対策の計画段階から、TKBを意識した設計が求められます。

まとめ

災害時の避難所運営におけるTKB(トイレ・キッチン・ベッド)の考え方は、人々の基本的な生活ニーズと人間性を保ちながら、効率的かつ効果的な支援を提供するための鍵となります。避難所での生活は決して快適ではないかもしれませんが、TKBの原則に基づく整備は、災害からの回復を支える重要なステップです。